第1章 この法律全体にいえること
第一章 総則

第2章 選挙権と被選挙権
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この法律の目的
- 第1条
-
日本国憲法では、国民や市民の代表者や地域のリーダーを選ぶ選挙は国民の権利であると規定されています。
また成人なら誰でも普通選挙に参加できることや、選挙で誰に投票するかは秘密にされることも規定されています。
このは、憲法の精神に則り、選挙が自由な意思の下で公明で適正に行わるようにすること、そして日本の民主主義がきちんと機能することを目的としています。
原文
1
この法律で対象とする選挙とは
- 第2条
-
この法律が対象とする代表者やリーダーの選挙は次の通りです。
- 衆議院議員小選挙区選挙
- 衆議院議員比例代表選挙
- 参議院委員選挙区選挙
- 参議院委員比例代表選挙
- 都道府県会議員選挙
- 都道府県知事選挙
- 区市町村会議員選挙
- 区市町村長選挙
原文
2
公職とは
- 第3条
- この法律で《公職》は、国会議員(衆議院議員と参議院議員)、都道府県会議員、区市町村会議員、都道府県知事、区市町村長のことを指します。
東京23区は政令指定都市の区とは異なり、地方自治法で市と同格の自治体とされており、選挙においても市と同格の扱いとなります。
原文
3
議員の定数
- 第4条
-
衆議院議員の定数は、465人です。
そのうち、289人は小選挙区から選出し、176人は比例代表制選挙区から選出します。 - 2
-
参議院議員の定数は、248人です。
そのうち、100人は比例代表制選挙区から選出し、148人は選挙区から選出します。 - 3
- 都道府県や市町村の議会の議員の定数は、地方自治法に基づいて決められます。
原文
4
選挙の準備や開票作業を管轄するのは
- 第5条
-
事前の準備から広報や受付、そして開票までの様々な業務を《選挙事務》といいます。
《中央管理委員会》は、衆議員比例代表選挙と参議院比例代表選挙の選挙事務を管轄します。
《都道府県の選挙管理委員会》は、衆議院小選挙区選挙と参議院選挙区選挙、都道府県議会議員選挙、都道府県知事選挙を管轄します。
《市町村の選挙管理委員会》は、区市町村会議員選挙と区市町村長選挙を管轄します。
原文
5
中央選挙管理会について
- 第5条の2
- 中央選挙管理会は5人の委員で構成されます。
- 2
-
中央選挙管理会の委員は参議院選挙の被選挙権を持っていることが必要で、国会議員はなれません。
国会で選ばれた人が指名を受けて、内閣総理大臣によって任命されます。 - 3
- 5人の委員の内、同じ政党や政治的なグループに属する3人以上の委員でのメンバー構成は認められません。
- 4
- 次のケースに該当すると、内閣総理大臣により中央選挙管理会の委員の職は解かれることになります。
- 一
- 参議院議員の被選挙権を失うことになった場合。
- 二
- 職務を行えないほど心身に問題が生じた場合。
- 三
- 職務をちゃんと果たさなかったり、委員としてあるまじき行いをした場合。
- 5
-
中央選挙管理会の委員の1人が3人目の同じ政党に所属することになったら、その内の誰か1人には委員を辞めていただくことになります。
誰に辞めてもらうかは、内閣総理大臣がくじ引きをして決めます。 - 6
-
国会で中央選挙管理会の委員を選ぶときは同時に選ぶ人数と同数の予備の委員を決めておきます。
委員を選ぶ際に予備委員の欠員があれば、予備委員を補充で選び出します。 - 7
- 中央選挙管理会の委員に欠員が出たら予備委員から補充されます。
- 8
-
予備委員は委員を選ぶときと同じ資格が必要で、国会で選び内閣総理大臣によって任命されます。
3人以上が同じ政党に所属していないようして、3人目になる場合はその内の1人にはくじで辞めていただくこととなります。 - 9
-
委員の任期は3年です。
欠員補充なった委員の任期は、引き継いだ残りの任期だけです。 - 10
- 中央選挙管理会の委員が任期切れとなったときに、国会が開いていない場合、次の国会が開かれて新しい委員が決まるまで委員としての役目を続けることになります。
- 11
- 中央選挙管理会の委員は非常勤です。
- 12
- 委員で選挙をして委員の中から委員長を選出します。
- 13
- 委員長は中央選挙管理会の代表者としての役目を担います。
- 14
- 中央選挙管理会の会議は5人の委員の内の3人以上が出席しなければ開会できません。
- 15
-
中央選挙管理会の議事は過半数で成立します。
賛成と反対が同数の場合は議長の裁量で議決を任されます。 - 16
- 中央選挙管理会の庶務は総務省で行います。
- 17
- 中央選挙管理会の運営について詳しいことは中央選挙管理会で決めます。
原文
6
中央から地方へのアドバイスと資料提出
- 第5条の3
-
中央選挙管理会から都道府県に対して選挙のやり方に関する資料を提出するよう要請することが認められます。
対象となる選挙は衆参両院の比例代表選出の選挙です。
提出された資料は、次の2つの目的で使用されます。
一つは、中央選挙管理会が都道府県や市町村に対して正しい選挙を勧めていくためのアドバイスを行うためです。
もう一つは、都道府県や市町村が選挙の事務を行う上で必要な資料を中央選挙管理会から提供を受けるためです。 - 2
- 中央選挙管理会から都道府県の選挙管理委員会に対しても衆参両院の比例代表選出の選挙を勧めていくためのアドバイスをしたり、必要な資料提出を要請することが認められています。
- 3
- 都道府県や都道府県の選挙管理委員会の方から中央選挙管理会に対して、アドバイスを求めたり、資料の提供を受けることを要請してもかまいません。
原文
7
選挙の実務は中央選挙管理会からの指示に従って
- 第5条の4
-
衆参の比例代表選出の選挙において政令で認められない状態だと判断したら、該当する都道府県に対して是正するように指示を出します。
必ずしも政令違反とはいえない状態であっても、適正とはいえない状態であったり、明らかに世のためにならない状態であったら、該当する都道府県に対して是正するように指示を出します。 - 2
- 地方自治体は、選挙に関して国から実務を任されている業務は、中央選挙管理会から都道府県に対して行われる指示に従ってすすめることとなります。
- 3
- もし市町村が法令に違反した選挙の進め方などをしていて緊急を要する場合は中央選挙管理会から該当する都道府県を通さなくても直接的に市町村に対して是正するように指示を出すことも認められています。
選挙の事務など、本来は国がやる仕事ではあるものの、全国各地の自治体に実務をやってもらっている業務のことを《第一号法定受託事務》といいます。
原文
8
中央選挙管理会が定める選挙に関する基準
- 第5条の5
- 都道府県が選挙に関して国からどんな業務を任されるのかの基準は中央選挙管理会によって定められます。
- 2
- 選挙に関して都道府県から市町村に業務を任せる基準が出されますが、その基準は中央選挙管理会の基準からブレたものは認められません。
- 3
- どうしても必要があれば、都道府県を通さずに直接市町村に対して中央選挙管理会から選挙の業務に関する基準が出されることもあります。
- 4
- 選挙に関して都道府県から市町村に業務を任せる基準が出されますが、その基準について中央選挙管理会から都道府県に対して指示が出されることがあります。
- 5
- 中央選挙管理会から都道府県に対して出される指示は、選挙をきちんと行うために必要最小限のものとする必要があります。
原文
9
2つの都道府県にまたがる選挙区では
- 第5条の6
-
参議院の選挙区で、2つの都道府県にまたがる選挙区が設定された場合、その都道府県は話し合いをして規約を定めて、共同で《参議院合同選挙区選挙管理委員会》を設置します。
このようなペアとなる都道府県のことを《合同選挙区都道府県》といいます。 - 2
-
2つの都道府県にまたがる選挙区で行われる参議院議員の選挙を《参議院合同選挙区選挙》といいます。
この選挙に関わる業務は各都道府県の選挙管理委員会が別々に行うのではなく、参議院合同選挙区選挙管理委員会が行います。
この選挙管理委員会が行う業務は、国から任されたものとして扱われます。 - 3
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員の定数は8人です。
- 4
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員は2つの都道府県の選挙管理委員会の委員から選出されます。
- 5
- 都道府県の選挙管理委員会の委員でなくなると、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員も辞めることになります。
- 6
-
参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員の任期は、都道府県の選挙管理委員会の委員としての任期末までとなります。
国会の閉会中や国会議員の選挙期間中のために次の委員の任命ができない期間中は、前の委員がその業務を継続します。 - 7
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員は非常勤です。
- 8
- 合同選挙区都道府県の各種の役所と取引をしている業者の役員や代表者、執行役や監査役、支配人や清算人は参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員にはなれません。
- 9
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員で選挙をしてその中から委員長を選出します。
- 10
- 委員長は参議院合同選挙区選挙管理委員会の代表者としての役目を担います。
- 11
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の会議は8人の委員の内の5人以上が出席しなければ開会できません。
- 12
-
参議院合同選挙区選挙管理委員会の議事は過半数で成立します。
賛成と反対が同数の場合は議長の裁量で議決を任されます。 - 13
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会には委員の他に職員が配置されます。
- 14
-
参議院合同選挙区選挙管理委員会の職員は合同選挙区都道府県の選挙管理委員会の職員が担当します。
合同選挙区都道府県の知事が協議の結果、その選挙管理委員会の補助的な機関の職員であれば参議院合同選挙区選挙管理委員会の職員として担当することが認められます。 - 15
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の職員は委員長の下で、参議院合同選挙区選挙管理委員会に関する業務に従事します。
- 16
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会が設置される際には、次の内容を規約に盛り込む必要があります。
- 一
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の名称。
- 二
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の経費をどのように支払うか。
- 三
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会の業務をどこで行うか。
- 四
- その他の必要事項。
- 17
- 参議院合同選挙区の選挙結果に関して裁判で訴える場合、2つの選挙区の都道府県の代表として参議院合同選挙区選挙管理委員会が訴訟の相手となります。
- 18
- 公職選挙法や関連する政令で特別な規定がなければ、参議院合同選挙区選挙管理委員会は一般の選挙管理委員会と同じように扱われます。
- 19
- 公職選挙法や関連する政令、参議院合同選挙区選挙管理委員会の規約に規定されていないことで、参議院合同選挙区選挙管理委員会に関する詳しいことは参議院合同選挙区選挙管理委員会が決めることになります。
原文
10
参議院合同選挙区選挙管理委員会から市町村へのアドバイス
- 第5条の7
-
実際に参議院合同選挙区選挙の実務の多くは市町村が担います。
その場合、参議院合同選挙区選挙管理委員会は市町村に対して適切なアドバイスを送ることになります。
また適切なアドバイスを送るために必要な資料を市町村から提供してもらうことが認められています。
都道府県が担う参議院合同選挙区選挙管理委員会の実務については、上記の対象とはなりません。 - 2
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会が市町村に送られるアドバイスや資料提供に対して、総務大臣から必要な指示を受けることがあります。
- 3
-
市町村から参議院合同選挙区選挙管理委員会に対して選挙の実務に関するアドバイスや指示を要求すること認められています。
参議院合同選挙区選挙管理委員会から総務大臣に対して選挙の実務に関するアドバイスや指示を要求すること認められています。
原文
11
市町村の選挙管理委員会がちゃんと業務をしていないと
- 第5条の8
- 各市町村の選挙管理委員会がきちんと選挙の業務をしていなかったり、不正や市民らのためにならない業務の仕方をしていたら、参議院合同選挙区選挙管理委員会からきちんとするように指示されることになります。
- 2
- 各市町村の選挙管理委員会がきちんと選挙の業務をしていないのに、参議院合同選挙区選挙管理委員会からきちんとするように指示していなかったら、総務大臣が各市町村の選挙管理委員会に対してきちんとするように指示されることになります。
- 3
-
各市町村の選挙管理委員会がきちんと選挙の業務をしていない場合、その都道府県の選挙管理委員会からはきちんとするように指示することは認められていません。
各市町村の選挙管理委員会がきちんと選挙の業務をしていない場合に、総務大臣からその都道府県お選挙管理委員会に対してきちんとするように指示することは認められていません。 - 4難文
-
参議院合同選挙区選挙管理委員会が指示を行ったことに関して、各市町村の選挙管理委員会からきちんと業務はしていた反論があった場合、裁判で証明する必要があれば、高等裁判所に訴えを起こすことが認められます。
参議院合同選挙区選挙管理委員会が高等裁判所に訴えを起こすことに関して、総務大臣は必要なアドバイスを送ることが認められています。
原文
12
参議院合同選挙区選挙管理委員会が示す基準は
- 第5条の9
-
参議院合同選挙区選挙が行われる場合に市町村の選挙管理委員会が国に代わって行う選挙業務について、参議院合同選挙区選挙管理委員会が基準を決めます。
この基準は総務大臣が決める選挙の業務に関する基準に反するものは認められません。 - 2
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会が市町村の選挙管理委員会に基準を示すにあたり、総務大臣が必要な指示を行うことが認められています。
- 3
- 参議院合同選挙区選挙管理委員会が市町村の選挙管理委員会に示す基準は必要最小限のものに限られます。
- 4
-
参議院合同選挙区選挙が行われる場合は都道府県の選挙管理委員会が市町村の選挙管理委員会に対して基準を示すことは認められていません。
参議院合同選挙区選挙が行われる場合は総務大臣が都道府県の選挙管理委員会に基準に対する指示を行うことは認められていません。
原文
13
委員を辞めさせられるとき
- 第5条の10
-
合同選挙区の都道府県や市町村の選挙管理委員会の委員は、選挙権を失ったり、その都道府県から仕事を請け負っている業者の役員などとなったら、委員を辞めてもらうことになります。
その都道府県から仕事を請け負っている業者かどうかの判定は参議院合同選挙区選挙管理委員会が行います。 - 2
-
上記の理由で選挙管理委員会の委員を辞めさせるためには、辞めさせる理由を文章で伝えて当人に手渡す必要があります。
都道府県の選挙管理委員会の委員が辞めさせられることに納得できない場合は、総務大臣に審査をしてもらうように請求してください。
市町村の選挙管理委員会の委員が辞めさせられることに納得できない場合は、都道府県知事に審査をしてもらうように請求してください。
納得できない場合に審査を請求できるのは、文章で通知された日の翌日から21日目までです。
原文
14
選挙への意識向上のために
- 第6条
-
選挙が公明で適切に行われるように、総務大臣と各選挙管理委員会は時と場合を問わず、選挙権を持つ人々が政治に対する意識を向上させるように努めることが求められます。
そして実際の選挙の場では、投票の方法や選挙違反に該当する事柄など正しい投票行動を促すための周知をしてください。 - 2
- 各選挙管理委員会は選挙の結果を迅速に発表できるように努力してください。
- 3
- 特別な事情が無い限り、選挙の投票のためには十分な受付時間を確保する必要があります。
原文
15
選挙の取締は公正に
- 第7条
- 検察官、都道府県公安委員会の委員そして警察官は、選挙の取締に関する規定を公正に執行してください。
原文
16
人や物の行き来が難しい場所に対して
- 第8条
- 離島など人や物の行き来が難しい場所などで、公職選挙法の規定を物理的に適用することが難しい場合は政令により特別な配慮をした規定をすることが認められます。
原文
17
第2章 選挙権と被選挙権
___
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